酒造り

真澄のふるさと信州諏訪

真澄のふるさと信州諏訪は、八ヶ岳・蓼科・霧ケ峰の麓に広がる高原盆地。
澄んだ空気と水、極寒の冬と涼風の夏、四季折々に表情を変える諏訪湖、
こんこんと湧く温泉、悠久の歴史を物語る史跡や祭り、その全てが私たちの誇りです。
諏訪はまたハイテク機器や酒・味噌・寒天といった伝統産業、良質な農産物で知られるモノ造り王国でもあります。
この王国を支えるのは技の高みを求める諏訪人気質。
厳しい風土の中でモノ造りと真正面から向き合って来た諏訪人の血に刻まれたDNAこそ真澄の味わいの源です。

高原風景
【 米 】酒は米作農家と蔵人の共同作品

真澄で使うのは「山田錦」「美山錦」「ひとごこち」など
酒造り専用の米が中心。
産地と品種のはっきりした米だけを玄米で仕入れ、富士見蔵の精米工場で精米しています。

山田錦兵庫県加東市山国地区産

美山錦長野県上伊那地区・安曇野地区・大北地区産

ひとごこち長野県上伊那地区産

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【 水 】

仕込に使用される水の品質は酒自体の味わいを大きく左右します。
諏訪蔵、富士見蔵ともに信州の山を流れ、天然のフィルターを通ってろ過された井戸水を使用。

諏訪蔵霧ヶ峰伏流水 硬度3.0

富士見蔵入笠山伏流水 硬度4.5

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【 蔵人 】社員蔵人と農家蔵人のコンビネーション
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真澄の酒造りは、醸造や発酵に関する科学的知識を身につけた社員蔵人と
生き物を育てるプロ・農家蔵人のコンビネーションです。
平成16年の造りから、初の社員蔵人が杜氏となりました。
当時40代前半の若さだった那須賢二と平林和之は、ともに大学で醸造学や微生物学を学んだ新世代の杜氏です。
そして平成25年、数々の品評会で高評価を得、
「信州の名工」にも選定された那須賢二を「総杜氏」とし、
諏訪蔵杜氏に平林和之、富士見蔵杜氏に中野淳という体制で新たなスタートを切りました。

【 杜氏 】

総杜氏
那須賢二(なす・けんじ)

総杜氏 那須賢二

1962(昭和37)年生まれ
2004(平成16)年より諏訪蔵杜氏
2013(平成25)年より総杜氏

{ 杜氏の仕事とは }

人をまとめていい酒を造ること。目標とする品質の酒ができるように、各部署を指揮すること。皆が楽しく酒造りをしてもらえるよう、うまく働ける環境づくりをすることだと思います。  

{ 好きな酒 }

軽くてきれいな、キレのいい酒が好きです。重いのも好きですが。

諏訪蔵杜氏
平林和之(ひらばやし・かずゆき)

平林和之

1962(昭和37)年生まれ
2004(平成16)年より富士見蔵杜氏
2013(平成25)年より諏訪蔵杜氏

{ 杜氏の仕事とは }

酒造りを全般的に分かっていて、目標とする酒質のお酒を造るためにいろいろな指示をすることが仕事だと思います。また、そのための設備や作業環境などを整えることも重要な仕事だと思います。

{ 好きな酒 }

米のうまみの感じられる酒が好きです。

富士見蔵杜氏
中野淳(なかの・あつし)

中野淳

1968(昭和43)年生まれ
2013(平成25)年より富士見蔵杜氏  

{ 杜氏の仕事とは }

蔵のスタッフが働きやすい環境を作ることだと思う。前の平林杜氏が出来た方なので基本的には蔵人に任せて大丈夫なのですが、任せきりでなくよりよい方向に持っていけるように、皆にわかりやすくポイントを伝えていきたい。

{ 好きな酒 }

自分は量を飲むのが好きなので、たくさん飲んでも嫌味のない、飲み疲れしない酒が好きです。

【 七号酵母 】

日本酒は体長5ミクロンの微生物「酵母」が甘酒の糖分をアルコールに変えることで醸されます。
しかし美酒を生み出す力を持った酵母はごく僅かで、酒造りが自然まかせに近かった明治時代までは失敗がつきものでした。
そこで明治37年に設立された国税庁醸造試験所は、優良酵母を捜し出して酒造メーカーへ販売する事業を開始。
この「醸造協会酵母」によって日本酒の品質は飛躍的に向上したのです。
真澄が全国清酒鑑評会で上位を独占した昭和21年、醸造試験所の山田正一博士は、
真澄諏訪蔵で醗酵中のモロミから極めて優れた性質を備えた酵母を発見。
「醸造協会酵母7号」と命名された真澄酵母はまたたく間に全国の酒蔵へ普及しました。

7号酵母発祥の地、プレートと石碑

諏訪蔵の奥まった一角、七号酵母採取の仕込タンクが置かれていた場所には、
山田正一博士の書「七号酵母誕生の地」を刻んだ黒御影石の石板が埋められています。
七号酵母はもともと真澄の酒蔵に住み着いていた「蔵つき酵母」で、
宮坂勝や窪田千里が育種したものではありません。
二人が酒蔵や道具類の清掃を徹底させた結果、優良酵母が育つ環境が整ったということはあったと思います。
発見当初の七号酵母は華やかな吟醸香を醸し出す酵母でしたが、
長い間に少しずつ性格が変化し、
現在では「落ち着いた香りとバランスのとれた味わい」の大人びた酒を醸し出す酵母となっています。
七号酵母は発見から60年以上経た今でも全国60%の酒蔵で活躍しています。
中には熱烈な七号酵母ファンの蔵元もいて、
業界の会合の席で「なぜ真澄が七号以外の酵母を使うのか」と食って掛かられることもしばしばです。
よく「真澄は七号酵母の販売で大儲けでしょ」とからかわれますが、
真澄は七号のパテントを持っている訳でも、販売に携わっている訳でもありません。
もしそうであったら当社は今ごろ超優良企業です。
七号酵母がお金に換わることはありませんが、
やはり「七号発祥の蔵元」は名誉であり絶大な宣伝効果です。
その一方で、「決して正道から外れた酒造りをする訳にいかない」というプレッシャーにもなっています。

「真澄」のれん
【 諏訪蔵 】全てはここから始まった

仕込み水の水源でもある霧ヶ峰と甲州街道が交差する諏訪市元町に位置する諏訪蔵。
1662年の創業以来続く、真澄の本拠です。
一円は清水町とも呼ばれ、
良質な水が豊富に湧き出る場所として江戸時代から知られ、
今でも近くにある神社では、諏訪のお殿様が茶の湯に用いた「御前水」が湧き出ています。
蔵は大正13年の建築で、
当時貧乏酒屋だった真澄は古材をかき集めて蔵を建てる他なく、
こぢんまりとした質素な建物ですが、
日本一の酒造りを目指して集った歴代の蔵人の手によって壁板一枚に至るまで綺麗に磨き上げられています。
近代清酒の元といわれる協会7号酵母が発見されたのも、
この蔵が誇る歴史の一部です。

諏訪蔵タンク室
【 富士見蔵 】八ヶ岳を眼前に臨む

全国品評会での好成績や7号酵母の発見により、
全国からの需要に諏訪蔵だけでは応じられなくなったことで、
1982年に八ヶ岳の雄大な姿を眼前に臨む高台の土地に建設されたのが富士見蔵(長野県諏訪郡富士見町)。
人里離れ自然環境が汚染される心配のないこと、
豊富な仕込水に恵まれていること、
標高が高く冷涼で酒造りに向いた環境であること、
そして真澄の酒造りを長年担ってきた諏訪杜氏のふるさとであることがこの土地を選ぶ決め手となりました。
外観は近代的ですが、建物の中で行われている酒造りは諏訪で行われるのと同様、完全に手作り。
こだわりである原料米の全量自社精米を可能とするのも、富士見蔵内にある精米機あってのことです。

山の中にある富士見蔵外観
ようこそ 真澄の酒蔵へ

取材・絵・文 吉田ますみ